Novel

身籠もるまで発情してしまう体になったら、契約婚なのに溺愛監禁されました

後日談

朝のふくらみ

 襲撃騒動後、お城の修繕には時間がかかっていた。私の部屋や寝室の惨状を直接目にしていないけれど、ルシウス様は部屋の場所自体を変えるようだ。「いっそ、別館を住みやすいように改築してもいいかもしれない」とも言っていたので、よっぽど酷い状態だったのだろう。……そこまで来るとすこしだけ見たい気持ちも湧きでていたが、一生後悔しそうなのでやめておいた。

「ん……」

 ふぁ、とあくびをしながらぼんやりと近くにいるルシウス様を見る。彼はまだ眠っているようだった。顔だけを私に寄せて、すやすやしている。どうやらまだ起きそうになかった。

(どうしよう、起こした方がいいのかな)

 昨日、とうとう執事が「明日からは仕事を再開して欲しい」と懇願していた。私がおかしな体になった影響で連日ベッド生活を続けていたのだ。無理もない。だけどもう、発情を防ぐ方法が子づくり以外にもあることが分かったので――その条件さえ満たせば私は普通の生活を送れるし、ルシウス様も普段通り仕事ができる。

(でも、もうちょっとだけくっついていたい気もする……し……)

 肌と肌が触れあっているのが気持ちいい。ルシウス様の腹筋に頬が当たるほど体を寄せると、頬がふにゃふにゃと緩んでしまう。本人が気づいていない時にベタベタと触るのが楽しいのはどうしてだろうか。腕を伸ばして抱きしめ、幸福感に満たされていると違和感を覚える。

(……こ、これは?)

 ずっしりとした重みと弾力が足に当たっていた。
 恐る恐るルシウス様の顔を見る。上級天使のような麗しい顔が寝たふりをしていうようにも見えなかった。

(ルシウス様に限って、ね……)

 あるはずがない、と思いつつも好奇心が湧きでる。足が当たっただけなので、勘違いかもしれないけれど、確認は必要だ。
 ルシウス様を起こさないように、私は体を下へ滑らせた。もぞもぞと布団を動かし、彼の下半身に行く。

「わ……」

 思わず、声が漏れる。
 ルシウス様の屹立が、大変立派な状態になっていたからだ。それは大きく膨らみ、上を向いていた。布団を僅かに持ち上げ、光を入れれば血管が浮き出ているのではないかというほどバキバキに見える。

(ルシウス様って朝勃ちするんだ……!)

 彼も普通の成人男性なのだと、謎の感動が発生する。
 何度射精してもすぐに元気になって、私の最奥を何度も擦りつけてくるような人が、朝勃ちをしているのだ。

(す、すごい……)

 起きたら、自分で抜いたりするのだろうか。

(ちょっと見てみた――いや、待って待って!)

 のんびりと構えていたけれど、よくよく考えれば一大事だった。

(今日こそはルシウス様にお仕事をしてもらいたいのに、朝勃ちしてたら流れ的に私とする……ことになるんじゃ?)

 今は体が発情していないけれど、起きればそうもいかなくなる。果たして、事務的に抜けるだろうか。何だか流れ的に、朝もすることになって何やかんや昼になってしまうのでは? だけど、一度火がついたらあっという間に一日が終わってしまっていたから、執事も仕事をして欲しいと懇願しているわけで……。
 どう考えても、よくない。
 もちろん、ルシウス様は我慢しようと思えば我慢して仕事くらいできるだろう。だけど今の私は彼がムラムラしているだけで、体が敏感になって発情してしまうのだ。異常なほど快楽を求めて、ずっと一人えっちしているに決まっている。後、理性がなくなってしまってルシウス様が我慢しようとしていても誘ってしまうだろう。泣きながら欲しいと言ってしまうかもしれない。
 ……となれば、ルシウス様が起きる前にこの朝勃ちを何とかしなければならない。過酷だ。

(そういえば私がルシウス様の性器を触って、気持ちよくしたことはなかったなぁ)

 できるだろうかと不安に思いつつ、ひとまず触ってみることにした。

(おお……)

 先端を持ってみる。すこしぷにっとした柔らかい感触だった。最中はゴツゴツと抉ってくるので、てっきり棒のように硬いとばかり思っていたから意外だ。
 ただ、持ってみたもののここからどうすればいいのだろう。ルシウス様の上に乗って腰を揺らせば起きてしまうはずなので、当然できない。静かに事を済ませるには、手や口を使う方が現実的。……ちなみに、やったことはない。

(さ、触り方……分からない……撫でる?)

 屹立の根元から先端へさすさすと撫でてみる。想像していたより、そこはさらさらとしていた。陰茎とは思えないほどのすべすべ感。浮き出た血管を指でなぞると、ルシウス様の屹立がピクリと反応した。でも、気持ちいいと感じてくれているとは思えない。そもそも撫でるだけで射精してくれるのなら、私が何時間もルシウス様に抱かれているはずがない。

(もっと刺激を与えるなら、口? 口、……口かぁ……)

 愛する人の体とはいえ、躊躇いが生まれる。食べたことのないものを食べるのが怖いのと同じように、ルシウス様の屹立を口にするのは未知すぎて怖い。
 それでもルシウス様は私の股をペロペロ舐めたり吸ったり、舌を入れて擦ってきたりしたのだ。腰をへこへこさせながら気持ちよくなっておいて、自分はできないとは何事か。

(ちょっと……ずつ……なら……)

 ルシウス様の屹立の根元を持ち、先端に顔を近づける。舌を出して、ぺろ、と先端を舐めた。

「……っ」

 寝ている間に汗をかいていたのか、すこししょっぱいような気もするけれど、想像していたよりも大丈夫そうだった。

(本当はルシウス様の、全部口の中に入れられたらいいんだろうけど……)

 どう見ても、自分の口に収まるサイズではない。できるだけ、入れてみようか。亀頭部分だけをパクリと口の中に含んでみる。歯を立てないよう注意しながら舌で優しくペロペロと舐めてみると、屹立がピクピクと反応していた。こういう感じでいいのだろうか?

「んっ……ん……ふっ……ン……ッ」

 くちゅくちゅと音を立てながら舐め、時々唇に力を入れて前後に動いて見る。

(ずっと舐めてたら、そんなに味も気にならなくなってきたかも……)

 それに、気持ちがいいと感じてくれたのか屹立が反応するのが可愛い。眠っているルシウス様も、同じように気持ちよく眠っていてくれればいいなと思いつつ、彼の先端を自分の頬裏に当ててみる。

「ふ……っ、はふ……んぅ……♡」

 これなら射精しないだろうか。
 私の最奥に擦りつける時と同じように、屹立が頬の裏を抉るように動かしてみた。口の中に含んだ屹立が脈打つのを感じる。それでもまだ、射精には至らなかった。

(さすがルシウス様……いつもすぐに射精しないし、この程度じゃあだめなのかな)

 その上、射精してもすぐに復活してしまう。

(む……ルシウス様の精巣、どうなっているんだろう)

 彼の根元についている二つの玉袋を持ち上げてみる。……重たい。
 私はルシウス様の性欲が心配になってきた。
 こんなにすごいのに、結婚してから最近まで一切手を出して来なかったのだから本当に聖人だ。きっと大変だっただろうに。そう思うと、我慢させていた自分に何とも言えない感情がわいた。

(……ルシウス様が目を覚ます前にスッキリさせてあげないと♡)

 そう思い、彼の屹立をもごもごと吸って顎を動かし、両手に持った玉袋を揉んで見る。

(うぅ……ルシウス様のためにしているのに、えっちなことしてるから股がむずむずする……っ♡)

 じんわりとお腹の辺りが熱いと感じてしまうのは、口でしているせいだろう。フェラをしながら、こんなにたくましいものが昨晩も自分の体を貫いては種を注いでさらに追撃してきたことを体が思い出してしまうのだ。
 ジリジリと、股の間が熱を帯びていく。裸のままなので、股が濡れるとすうっとした感覚に襲われた。こんなことをしていたら、どうしたって濡れてしまう。

(昨晩、これからは寝る時だけしようって話をして、たくさん体を繋げたのに……♡)

 ルシウス様が申し訳なさそうに「もう一度したい」と話すたび、肉体の疲労は吹き飛んで続きをしていた。私自身の性欲は満たされているはずなのに。

(口の中も、擦ってると……何か……気持ちいい……♡ くてぇ……♡)

「んっふ♡ んっ……んぅ♡ んっんっ♡」

(あ、あれ……♡ 何か、変な……? 何で私、こんなにムラムラして……る、の……♡)

 違和感はあった。
 けれど、ルシウス様の屹立はまだ硬い。
 咥えたまま顔を横向きにして、屹立を頬張る。ぢゅぽぢゅぽとえっちな音がすると、何だか上達したような気がしてしまう。それでも、射精しそうな動きはない。何がだめなのだろう。
 もっと口に含めば、反応も変わるだろうか。
 気になって、思い切って彼の根元へぐっと顔を寄せる。

「ん……ぅう……っ♡」

 口の中がいっぱいで苦しい。でも、ルシウス様の何だかえっちな匂いが濃くなって胸がドキドキする。

(えへへ、ルシウス様♡ がんばれ♡ がんばれ♡)

 ふれっふれっと彼の両方の玉袋を持ち上げたり戻したりを続ける。こっちも動かしておけば、射精しやすくなったりは……――

「コリン……」

「ん……♡ んぇ……?」

「何を、している」

「ふぇっと、ほれは……♡」

 布団の中で隠れてこそこそやっていたはずなのに、すでに布団はめくれて私がしていることは白日の下に晒されていた。

「ふぁ、ふぁの……ルシウス様……の、たっへ……へぇ……♡」

「それで」

「ムラムラひないほうに、ひなふひゃっへ♡」

「……………………なるほど」

 頭が痛い、と言わんばかりにルシウス様はひたいに手を置いていた。

「ありがとう、コリン。だが……正直、今、この状況の方がムラムラする」

 もう止めなさい、とルシウス様は私の顔を両手で掴んで性器から離す。息苦しさはなくなったけれど、彼の屹立はそそり立っていた。

「え、でも……いいんですか? ちゃんと出さないと、辛いと思うんですけど♡」

「それはそうだが」

「……口でするの、下手でしたか」

 痛かったりしたのだろうか。口でしている時、私はルシウス様の顔を見なかった。なので、実際私がしたことはよかったのかどうか分からない。
 じっとエメラルド色の瞳を見つめる。その瞳は戸惑うように揺れていた。そうして、ルシウス様はそっと目を伏せる。

「下手、というより……謎だ」

「謎」

「……私のを、持ち上げて揺らしていただろう。あれは、その、何だったのかと」

「えっと、だめでしたか? ほ、ほら、いつもする時はルシウス様のがお尻に当たったりしていたので♡ もしかしたら動かした方がスッキリしやすいのかなって……?」

 言いながら、それはちょっと違うのではないかと気づき始める。

「それよりルシウス様、いつから起きていたんですか」

「いつ、と言われても」

 彼は困ったように眉を寄せ、考えるようにサイドテーブルに置かれたタオルを掴み、私の口元を拭った。

「あなたが起きるより前に、起きていた」

「へ」

 つまり、何もかも知られている。
 起きてから何をしただろうか。ルシウス様に抱きついて、胸に頬ずりをして、朝勃ちの観察をして、触って、舐めて、頬張って。そして、彼の玉袋を揺らす私……。

「……ご、ごめんなさい」

 いっそ跨がって腰を動かしていた方が、よかったかもしれない。

「別に、謝らなくていい。コリンからそういうことをしてきたのが初めてだったから、驚いただけだ。気づいていたのに、すぐに声をかけなかった私も悪い。……それで、こうなってしまったわけだが」

「は、はい……♡」

「私もさすがに仕事をしなくてはならない。それに、すぐにはコリンを元に戻せないだろう。だから――」

 続いた言葉に頭が真っ白になる。

「……へ?」

 真面目な仕事人間の口から出たものとは到底信じられない提案に、私は頷くことも首を横に振ることもできないまま、その時を迎えた。

「公爵様がようやく仕事をしてくださるのは喜ばしいのですが……」

 執事の声が聞こえる。その声は困惑の色が浮かんでいた。

「奥様はまだ眠っているようですし、ベッドで寝かせた方がいいのでは」

 その発言は最もだった。
 現在、私とルシウス様は別館にある執務室にいる。彼はテーブルの前で椅子に座り仕事をしており、私は彼の膝の上に横を向いた状態で座って、眠ったふりをしていた。

「こっちの方が落ち着く。無駄口はいいから、次の資料を持って来い」

「……かしこまりました」

 ようやく執事が退室する。

「コリン」

「……は、はい♡」

「今ならすこしは動いても大丈夫だ」

「す、すぐに戻ってくるのでは……♡」

「私が頼んだ資料は別館にはない」

「では、す、すこし……だけ……♡」

 ルシウス様の胸を掴み、腰を僅かに揺らす。
 ワンピースの下はすでにルシウス様と繋がった状態だった。

「は……はぁ……♡ はふ……ふぅー……♡」

 ゆったりとした快楽が背筋に走る。頭はぽかぽかと温かいお湯に長時間浸かっているかのように、ふわふわしていた。すぐにくらくらするほど甘く蕩けて、腰がへなへなになってしまう。絶頂を迎えるほどではないけれど、このちょうどいい心地よさが癖になる。さらにルシウス様自身は一切動かず、仕事に集中しているので何の脅威もない。

「んぅ……〰〰〰〰っ♡」

 ずっぽりと収まった屹立が気持ちいい。体の内側に意識を向けると、最奥に亀頭が押し込まれているのがよく分かる。膣内を収縮すると、その凹凸部分がはっきりと伝わってきた。

(ずっと同じ場所を擦ってるから、動かなくてもイキそ……♡)

 夢中で腰を揺らしていると、部屋の外から足音が聞こえる。また、寝たふりをしないといけない。
 ルシウス様が私の背をぽんぽん、と優しく叩く。そろそろ動くのを止めた方がいいということだろう。私は最後に腰をルシウス様にぐいぐいと寄せてから目を瞑る。
 すこしして、執務室の扉が開いた。

「公爵様~、王城で動きあったんだけどさ~って……何やってんの?」

 声からして執事ではない。このややねっとりとしていながらも、軽薄そうな声は赤髪の青年だろう。

「見て分からないのか、仕事だ」

「それどう見てもさぁ……いや、まあいいか」

(も、もしかしてバレてない? バレてないよね……?)

 気づいているのかいないのか、青年は話を続けた。

「この前の襲撃で派手にやっちゃったから、王様が完全に奥様のこと狙ってそうなんだけど。そのうち詫びがしたいからって、茶会の招待状を送ってくるんじゃね? 祭りの期間中なら、断れると思うけど。その後はどうすんの」

「……旅行でもするか」

「招待状が届く前に?」

「ああ。旅行中に、城の修繕も終わるだろう」

「うへぇ」

(うう……♡ 何だか大変なことを話しているはずなのに、ルシウス様の……どんどん、おっきくなってぇ……♡ 全然、頭回らないっ♡)

 王様が何かしているようだが、まったく頭に入らない。つまり、どういうことなのだろうか。

「つか、王様も必死だね。王女様が問題を起こしたのに、ま~だ奥様と仲良くしようとするなんてさ。ま、好意を持ってもらえれば加護のおこぼれがもらえるかもしれないから、権力者なら欲しいもんか」

 青年が話をしている間、どうにか耳を傾けようとしていたのに体に収めた屹立がむくむくと育っていく。あり得ないほどパンパンに膨れ上がってしまったせいで、動いていないのに腰が僅かに震えた。

「……っ♡ …………〰〰ッ♡」

 どうか、これ以上大きくならないで欲しい。屹立から彼の鼓動が伝わってくる。ビクン、ビクン、と、まるで射精が近いようだった。

(だ、だめ……♡ ルシウス様、い、今、出したら……♡ いま、はぁ……っ♡ …………〰〰〰〰っ♡)

 精液を受け止めきれるだろうか。愛液も混じって、液体がポタポタとこぼれてしまわないか心配だった。もはや、ルシウス様と青年の大事な話など気にしている場合ではない。
 だめなのに、体はすっかりルシウス様の射精を促していた。腰を動かさなくとも、膣内は奥へ奥へとうねっている。彼の根元をぐっと締めつけ、深い場所では催促するように収縮していた。

(う……今、ルシウス様に出されたら、気持ちよすぎて……こ、声っ♡ 声出ちゃうっ♡ 絶対だめっ♡ 絶対だめっ♡)

 我慢しよう。そう思えば思うほど、股の間に力が入ってしまう。

(ううう〰〰♡ 奥ぐりぐりっ気持ちいい……っ♡ イキたいよぅ♡)

「ひとまず、ちょっかいを出されないように見張っておいてくれ。あの男のことだから祭り中に、忍んで領地にやってくるかもしれない」

「ありそー……他の貴族の動きも見とくわ」

「ああ」

 ルシウス様は涼しげな声で頷く。下半身はこんなに酷い有様なのに、平然としているのが恐ろしい。小さい頃からどんな場面でも、平静を装えるよう訓練されてきたと彼自身が話していたけれど……今の状況は種類が違うのではないだろうか。

「そんじゃ、二人ともほどほどにー」

 パタン、と扉が閉まる。
 執務室にはルシウス様が書き物をする音が響いていた。けれど、すぐにペンを置く音がした。

「コリン……っ」

「んっ♡」

 目を開けると、焦った表情で私の名前を呼んで抱きしめるルシウス様がいた。

「今、いいか」

「は……はいっ♡ はいっ♡ は……〰〰〰〰〰〰〰〰ッん、んぅう♡」

 ルシウス様は私のお尻を力一杯掴むと、ぱちゅぱちゅと音が出るほど激しく動かしてきた。滲んだ蜜が泡立つ音がする。内側がひくひくとわなないて、ルシウス様の屹立にぺたぺたと張りついていく。繋がっている部分が歓喜に満ちて、涙が出そうなくらい気持ちがいい。

「はっ♡ はふ♡ はふっ♡ ふ♡ ふぇっ♡」

 一人で動いていた時とはまったく違う。肉と肉が激しくぶつかり、奥を抉られるたびに頭が垂れ下がるほど重たい快楽に犯される。口でした時は、すべすべで脅威を感じなかった屹立が容赦なく攻めてきていた。

(こ、これ♡ これが欲しかったの♡ ルシウス様っ♡ す、すごい♡ すっごいカチカチっ♡ お、お汁……止まんないっ♡)

「イ……イキ…………♡ そ……で、すっ♡」

「我慢しなくていい」

「ルシウス……様、も……我慢っし、しない、でっ♡」

 ルシウス様は人が来ると冷静に受け答えをしていた一方で、こんなにも強い衝動を抑えこんでいたのかと思うと胸がドキドキしてしまう。私だけが発情しておかしくなっているわけではないのだ。この涼しげな顔が、私の前だけ崩れて素を見せてくれるのが嬉しくなる。
 座っている椅子が悲鳴を上げるように、ギシギシと音を鳴らしていた。

「コリン」

「ルシウス……さま……♡」

 お互い、こっそりと名前を呼び合いキスをする。むにゃりと唇の形が崩れるほど激しく唇を貪り合い、ようやく熱いしたたりが体に注がれていく。椅子に座ったままの行為なのに、どちらも息が上がっていた。そして抜かないまま、最後の一滴までルシウス様の精液を受け止める。股からあふれてしまわないように、きゅうきゅうと締めつけているせいだろうか。性欲を発散させたばかりの屹立が再び漲り始める。
 もう一回は、できるだろうか。
 恍惚状態のルシウス様は、私のお尻を持ち上げ下から突き上げていく。

「……っ♡ は、ふ……♡ ふぅ……っふ♡ ふぇ……〰〰っ♡」

 ポタポタと水がこぼれる音がする。

「る、しうす、さまっ♡ こ、ここで、あの♡ ご、ごめんなさいっ♡」

「構わない。それだけ感じているのだろう」

「は、はい♡ 気持ちよすぎ……て……♡」

 潮を吹いてしまう場所を攻められ、ぷちゅぷちゅと恥ずかしい汁を吹き出してしまう。私が真っ赤になって肯定すると、ルシウス様は口角を僅かに持ち上げて嬉しそうに笑った。

「ここだな」

「はぃ♡ で、も……仕事……がっ♡」

「執事の資料待ちだ。それまでは――」

 ルシウス様が言葉を切り、動きを止める。一瞬、不満そうな顔を浮かべていた。何故だろうか、とぼんやりしていると足音が聞こえてきた。赤髪の青年の時とは違って、コツコツと規則正しい。
 執事が資料を持って帰って来たようだ。

(うう、後もう一回イケたのにぃ……♡)

 どうやらまた、寝たふりをしないといけないらしい。
 私は頭をルシウス様の胸に預けて、目を瞑る。

「公爵様、話していた資料です」

「ああ」

 ルシウス様は素っ気ない返事をしながら、資料を受け取っていた。ほんの数秒までは熱いまなざしを私に向けながら肉欲を見たそうとしていたとは思えないほど落ち着きのある声だ。
 二人はしばらく領地の運営について話をしていた。それと、祭りが終わった後の旅行の話題や、城の修繕に関しても。
 分かっている。大事な話だ。今まで仕事を溜めていたのだから、執事もやってくれている内にと、あれこれ詰めているのだろう。

(も、もう十分は動けないまま……奥、抉られてる……♡ こ、こっそり、イッてもいいかな……っ♡)

 そうしなければ息が上がりそうだった。それらしい寝息を立ててはいるけれど、執事の話は終わらない。明日の予定や、今日の夕飯は何がいいか。祭りに参加する貴族の出席名簿等。全然、終わらない。終わらないのだ。

(はやくっ♡ はやくっ♡ 終わって終わってぇ……っ♡)

「……っ♡ …………っ♡」

 股の間がどろりと熱くなる。寝息らしいものは僅かに震えてしまったが、執事が気づいた様子はない。
 膣内はすでにぐわんぐわんと収縮していた。

(あ…………………………………………♡)

 じわりと体の内側から蜜があふれ出る。
 気づいた時にはもう取り返しのつかないことになっていた。

「あれ、今日は天気なのに雨音がしますね?」

 執事が不思議そうに話しかける。

「……っ♡」

 すぐそばで、ぽた、ぽた、と水が落ちる音がしていた。
 水道の蛇口を閉めるように、膣口にぐっと力を込める。けれど、屹立が膨らんだせいで破裂寸前の肉のポンプみたいになっていた。

(だめ……だ、だめぇ…………〰〰〰〰っ♡)

 閉めれば閉めるほど、お腹の下がゾクゾクと疼く。愛液がどっぷりと増して、もうルシウス様の屹立に吸いついて密閉することもできないほど、そこはもういっぱいいっぱいだった。

(出ちゃだめ……♡ 出ちゃ……♡ だめぇ……っ♡ んぅう♡)

 しがみついた屹立がドクドクと脈打っている。さらにルシウス様の心臓の鼓動が速くなっているのも感じ取れた。

(ルシウス様……ルシウス様……ご、ごめんなさい……っ♡ でも、もう――……っ♡)

 ぱらぱらぱら、と音がする。もう、締めつけるのも限界だった。
 音からして、すでに床には水たまりができているのだろう。

「…………――――っ♡ ……ふ、っ♡」

 背筋がぶるりと震えそうになるのをどうにか耐える。私は寝ているふりをしているのだ。でも、水が落ちる音が止まらない。

(ルシウス様が何度も潮を吹かせようとする、から……も、もう、癖になっちゃって……い、いっぱい……♡ と、止まんない……♡ こんなにボロボロこぼしちゃうようになるなんて……♡ あ、あ、ルシウス様のも……また、ビクビクってぇ……っ♡)

「……ああ、別館は元々古いからな。城の修繕が終わったら、別館も点検しておこう」

「かしこまりました」

 二人の話がようやく終わる。執事は満足そうに部屋を出て行った。
 私はすぐに目を開いて首を動かす。仕事は後どれくらい残っているのだろうか。テーブルを見ると、彼は最後に残った書類に目を通しサインをしているところだった。
 最初に執務室に入った際、山のようにあった書類はいつの間にか片付けられている。私だったら絶対に仕事どころではない。もしくは、仕事が大変すぎて性欲なんてなくなりそうだったのに。こんな状況で正常な判断ができるのだろうかと心配になるけれど、ルシウス様がそんなミスをするとも思えない。

「終わった」

 仕事が一区切りついたルシウス様は、ペンを置いて私の腰を持った。しばらくは誰かが執務室を訪れる気配もない。

「んっ……♡」

「まだ、できそうか」

「は、い……っ♡ あ、あうっ♡ ふっ♡ ふぇ♡ は、はげし……っ♡」

「執事がいた時間が長くて、大変だっただろう。今なら好きなだけ吹き出していい」

「ゆ、床……み、みじゅびたし♡ にぃ……♡ だ、だめになっちゃ……♡」

「床がだめになるほど、溜まっているのか」

「ち、ちが……はぁっ♡ イク……イクイク……っ♡ 奥、が気持ちいい……のっ♡ もっと、あっ♡ ルシウス様……そこっ♡ も、もうずっと動けなくて、辛く、てぇっ♡」

「うん、うん」

 椅子が再びカタカタと揺れる。寝室に移動する時間も惜しくて、そのまま行為を再開させていた。

(ルシウス様がこの状況にムラムラして、性欲を我慢し続けているのなら……ま、まだ一人えっちしている方がよかったのでは♡ だ、だって、いくら性欲解消のためにハメたままお仕事しても、今、絶対解消されてない……よね……♡ で、でも♡ こ、これ、普通のえっち……より……気持ち……っ♡ いい、くて……♡ だめかも……♡)

 ――そんな当たり前のことに気づいたのは、ルシウス様に何度も奥を抉られて水漏れの音が止まらなくなってからのことだった。

二人のそれまでのお話はがるまににて配信しています。

身籠もるまで発情してしまう体になったら、契約婚なのに溺愛監禁されました